本文へ移動

9月

【277】 2019年9月30日付 フィンテック最新事情(135)

決済で利益を上げる道筋とは―
「ペイメントビジネスの収益」が示唆するもの
 
 フィンテックへの投資は、初期の段階からペイメントのカテゴリーに投資家の注目が集り多くのフィンテックが参入、世界各国で活発な活動が報道されている。しかも各国の規制当局も、欧州のペイメント・サービス指令(PSD2)に代表される規制緩和を推進する事で、フィンテックの参入が増えるのと並行して、銀行業界を取り巻くテクノロジーのインフラがオープン化へと加速し、銀行自身もオープンAPIを実装し、エコシステムの構築を進め、新サービスの開発競争ただ中にいる。
 一方、ペイメント・ビジネスの収益が今年の1.5兆ドルから毎年5.5%増加し、2025年には2.0兆ドルを超えると予想される。このなかで、この期間の増加分の15%、つまり銀行は0.28兆ドルをデジタルペイメント企業やフィンテックのために失う可能性があると警告した。しかも、今後6年間でカード取引と手数料からの収入に、削減圧力もかかる。「手数料なし」などの支払いによって更に収益の8%に影響する可能性もある(9月の2019 Accenture Global Payment Pulse Survey報告書)と指摘する。
・・・続きは紙面に掲載

【276】 2019年9月23日付 フィンテック最新事情(134)

デジタルトランスフォーメーションは蝶に羽化するプロセスだ
デジタルトランスフォーメーションの圧力
 
 これまで、社会や顧客のデジタル化の進展に伴う銀行業界の課題、つまりデジタルトランスフォーメーションについて先進銀行事例を紹介してきたが、金融業界内には今も様子見の経営姿勢の銀行が多いのは事実である。
 しかし今年になって、銀行業界の経営実態がデジタル化の流れで変わってきたことがはっきりしてきた。筆者の目を捉えた2つの分析レポート、シティバンクの「デジタルバンクになってコストは30~50%削減されたが、フィンテックの参入により収益が10~30%減少する可能性がある」(本稿261号5月6日付)と、IMFのレポート「非銀行系フィンテックが生み出した収益の割合は6%になり、銀行系フィンテックの割合をこれに併せれば9%になっている」(本稿274号9月9日付)と、すでに本稿でとり上げている。
 今回は、アクセンチュアが世界20カ国大手161行のデジタライゼーションの取り組みについて調査分析したレポート「バンキング業界ではデジタル先進行であるかどうかが本当に問題になるのか?」(本年6月)を採りあげ、マーケット分析で有名なFinancial Brandが投資家の観点から評価した「デジタルバンキングのリーダーである、そのことが銀行の財務的効果を押し上げている」と報道した概要を紹介する。
(9月2日付)
・・・続きは紙面に掲載

【275】 2019年9月16日付 フィンテック最新事情(133)

決済口座をもつのが参入のカギになっている
楽天の米銀免許申請 ループホール
 
 今年上半期のグローバル・フィンテック投資は、中国市場を除くベースで前年を上回る勢いを示していると前号で紹介した。その中でも、多くの投資家の期待が、業容拡大を目的に「海外展開と顧客獲得」戦略を強く打ち出しているチャレンジャーバンクに集まっている事は、今年8月1日時点で、すでに昨年の投資額を超える実績からも理解できる。また、顧客数が100万人を抱える「1M+フィンテッククラブ」の25社の中にチャレンジャーバンクが7社を占め、顧客数は3000万人を超えている事実は無視できない。
 チャレンジャーバンクの海外展開は、連日ニュースの話題である。特に、欧州からの米国進出には、英国のMonzoとRevolutそれにドイツの
N26に注目が集まっている。米銀ライセンスをどのように取得し、米国市場向けの新しいサービスは何なのか本稿124号「英・米の国家間戦争オープンAPI」(16年2月22日)で指摘したように、その国の銀行業界のテクノロジー・インフラの違いからくる戦いでもある。
 オープンバンキングやオープンAPIの世界で一歩先を行く欧州の銀行が米国の銀行市場にどのように侵略していくのか、筆者としては強い関心を持っている。
・・・続きは紙面に掲載

【274】 2019年9月9日付 フィンテック最新事情(132)

「金融包摂を促進、リスクバランスをとる」と評価した
「フィンテック:これまでの経験」 IMF報告
 
 昨年10月にインドネシアのバリで開催された国際通貨基金(IMF)および世界銀行(WB)の年次総会で「技術革新が金融サービスの提供をどのように変化させ、これらの開発が経済効率と成長、金融の安定性、包括性、および金融の完全性にどのような影響を与えるかを理解する際に考慮すべき重要な問題:12項目」のバリ・フィンテック・アジェンダ(BFA)が提示され、BFAに基づく調査報告書「フィンテック:これまでの経験」が今年6月に発表された。
 この報告書は、地域や国ごとに重要な違いはあるものの、各国はフィンテックが経済成長と金融包摂(手頃なコストで全ての人々に対し、信用や貯蓄、保険、決済、送金などの基本的な金融サービスへのアクセスや利用をできるようにする取り組み)を促進する機会を広げ、安定性と完全性に対するリスクのバランスをとっていると述べている。
 この報告書に非常に興味のあるフィンテックの破壊度を示す分析があるので紹介する。
 最初に、報告書ではフィンテック企業は金融サービス業界全体の収益の小さな割合を占めているにすぎない、と述べているが、JPモルガンのダイモンCEOが「シリコンバレーから銀行の美味しいところを食べにくる」と言ったことが実績として現れてきた。
・・・続きは紙面に掲載

【273】 2019年9月2日付 フィンテック最新事情(131)

世界的に投資は増えている
中国での投資が急減 グローバル・フィンテック投資
 
 四半期毎に発表されるCB Insightsのフィンテック投資動向分析レポートの2019年第2四半期版の概要を伝えるニュース「グローバル・フィンテックへの投資が急激に落ち込んだ」(Finextra、8月15日付)が報道
された。
 グローバルのフィンテック投資を振り返ると、15年の第4四半期に落ち込んだ時の日本国内での反応は次のようなものであった。
 フィンテック投資の4半期毎の規模が14年第4四半期に30憶ドルを超
える規模になり、翌15年から本格的に拡大基調に入り、今日に至っている。しかしそのさなかの15年第4四半期のシリコンバレー全体の投資減速が影響して、フィンテック投資も急落した。当時、日本ではフィンテックについての本格的な情報収集が始まった時でもあり、米銀視察団も派遣された。しかし、米銀からはフィンテックの話題はあまり出なかったと報告されている。また、日本のシリコンバレー投資専門家から「もうフィンテックへの投資は終わった」などの情報が流布日本でフィンテック・ストーリーが躓いた時期だった。
・・・続きは紙面に掲載
株式会社 金融経済新聞社
(キンケイ)
〒104-0045
東京都中央区築地7-12-14
TEL.03-6264-0881

・「金融経済新聞」(週刊)の発行
・小冊子の発行

 
4
3
7
8
2
0
TOPへ戻る