2018年11月12日
2018年11月12日付 第3000号
1面
【金融史30年の示唆】
瓦解する「金融ムラ」 金融規制は新たな段階へ
オーバーバンキング
金融税制は行き過ぎたのか
20年が寿命だった 金検マニュアル
現代社会で金融は、強く社会システムに組み込まれている。AI(人工知能)やフィンテックに限らず、事業性評価や企業承継、M&Aなど、10年前の金融になかった言葉があふれる。金融経済新聞は今号で創刊3000号を迎えた。これを機に金融史「30年の回顧」をまとめている。
2面(特集)
名古屋レート半世紀
金利と価格、激しい競争
都銀が消え秩序崩れ 再編の要因と指摘も
中部圏の金融事情を象徴する一つのキーワードがある。全国平均と比べ貸出約定金利の低さを指す「名古屋金利」だ。使われ始めたのは、幅はあるが1970~80年にかけてとされ、その歴史は古い。名古屋金利を設定する仕組みは、2000年前後を境に構図が変わったとの見方が多い。それまでの主役が、都市銀行間の再編により決定権を手放して以降、存在感のある地域金融機関と優良な製造業者が他の地域より集積する土地柄のため、各機関入り乱れての激しい価格競争が現在も続く。国際情勢と同じく「G0(ゼロ)」が継続したままなのか、新たなリーダー格が誕生するのか。「金融競争には慣れている」(地域金融機関首脳)この地域の動向に、新たな視線を向けられている。
【3000号記念Interview】 関東財務局 田中 琢二 局長
「今、新たな価値を生み出す時」
結びつけ、組み合わせを変え
関東財務局は1都9県の広範囲を管轄する。域内の国内総生産
(GDP)は全国の42.5%を占め、まさに経済の中心地だ。対象金融機関も146に上る。田中琢二局長は「われわれ、企業、金融機関、地方公共団体、他省庁といった各組織の力を結びつけて新たな価値を生み出す」と意気込む。裏打ちするのは、多岐に渡る金融実務経験だ。地域活性化に向け、ニーズに耳を傾け「より開かれた関係」を構築。現実的、効果的な解決策を提供していく。
3面(総合)
山陰合同銀 神戸に新店舗
将来は融資1兆円へ
【大阪】山陰合同銀行は6日、神戸市長田区に神戸西支店を開設した。
5年ぶりの出店で事業資金の獲得を目指す。兵庫県内は10店舗体制になる。地盤とする島根・鳥取を除けば県外最大のネットワークを誇り、兵庫県内の金融機関との競争は激しくなる。
石丸文男頭取=写真右から3人目=は「兵庫県南部がひとつの線でつながった。顧客との対話を通して課題やニーズに応えていく。地域に根差した営業活動を進める」と胸を張り、県人会関係者らとともにテープカットで開店を祝った。
【3000号記念Interview】 三井住友銀行 名誉顧問 北山 禎介 氏
「危機の時代」を超えて、協働へ
100年に一度の変革の時 イノベーションとは「新結合」
キーワードは多様性
三井住友銀行設立の立役者のひとりである北山禎介・名誉顧問はこの20年間を「危機を乗り越えた時代」と総括する。現在を100年に一度の変革の時と捉え、イノベーションを「新たな結合」と解釈。人と人、組織、技術革新すべてが協働に向かっていると話す。
4面(特集)
《スマホから生まれる新たな金融》
スマートフォン(スマホ)が一般に普及し始め10年近くが経過する。総務省が公開している2018年版の情報通信白書によると、17年のスマホの世帯保有率は75.1%。前年比で3.3%上昇していて、パソコンの世帯保有率(72.5%)を上回っている。個人でも60.9%がスマホを所持していて、もはやスマホは一人一台が当たり前になりつつある。そんな中で、金融サービスにも変化が生まれている。店頭からパソコン、そしてスマホへ。カードも財布もいらない時代が訪れるかもしれない。テクノロジーは一足飛びで進歩している。金融機関も時流に乗り遅れてはならない。「スマホと金融」の最前線を追った。
エムティーアイ・常陽銀
お金の地産地消で地域を元気に 更新系API活用アプリ
KDDI・大和証券G
資産形成事業に本格参入 事業の強み生かし、若年層取り込む
CCCマーケティング
ポイントをアプリで一括管理 生活者目線のウォレットレス社会へ
5面(特集)
《育てる金融》
地域や企業に寄り添い活性化を支援する「育てる金融」が広がりをみせている。創業支援施設を運営。別法人から金融機関とは別の切り口でアプローチしたりと工夫している。クラウドファンディングとの連携も定着してきた。最新動向を紹介する。
千葉銀
フレッシュファームちば 代表取締役 池田 等 氏に聞く
市原市で稲作に挑戦 初収穫で目標新たに
城南信金
信用金庫の枠を超えた応援 創業支援施設で起業家育成
マクアケ
CFは新しい資金調達の在り方 調達実績に合わせた融資制度も
6面(大手金融・ノンバンク)
セブン―イレブンで「PAYSLE」 SMBC×NEC
国内コンビニの7割で利用可能に
三井住友銀行(SMBC)とNECが共同出資するブリースコーポレーション(東京・渋谷)はセブン―イレブンジャパンと基本合意書を交わした。12月中旬をめどに、スマートフォンを使ったコンビニ収納サービスPAYSLE(ペイスル)の取り扱いをセブン―イレブン全店で開始する。これでペイスルは国内のコンビニの7割で使えるようになるという。
【3000号記念Interview】 元三菱UFJニコス社長 大森 一廣 氏
キャッシュレス決済、クレジットが基盤 強みは顧客に近い存在
2000年代初頭、再編の嵐が吹き荒れた信販・クレジットカード業界。それから20年あまり。雌伏の時期を経て、キャッシュレス決済のけん引役としてクレジットカードは注目を集める存在に浮上している。この間、業界の第一線にあり続けた三菱UFJニコス元社長の大森一廣氏に、過去を振り返り、フィンテック時代におけるカード業界を占ってもらった。
7面(地域銀・信金・信組)
広がる営業時間の弾力運用 信金業界
小型店舗や山間部で 余剰人員を営業に振り替え
信用金庫で営業時間を見直す動きが広がっている。職員数が限られ窓口を維持するのが難しくなっているためだ。昼休業を設ければ一斉に休憩が取れる。一方で来店客が減少しており、効率運営も求められている。コストを削減したり、余剰人員を繁忙店に振り替え、顧客接点を増やすしたたかさも見える。
日本財団と神戸シューズ支援 兵庫信金
ブランド力発信へ
【大阪】兵庫信用金庫(兵庫県姫路市)が日本財団と組んで神戸の代表的地場産業・ケミカルシューズの支援に乗り出す。同財団の助成金を活用、神戸シューズのブランド化を進め、地域活性化につなげる。
神戸は国内最大の靴の街として知られ、ピークには2万人の雇用を生んだ。しかし阪神淡路大震災で打撃を受け、その後も低価格の海外製品に押されている。