7月
【188】2017年7月24日付 フィンテック最新事情(60)
オープンAPI 、いまだ金融機関の3分の1
デジタル社会の銀行システムのあり方としてAPI(アプリケーション・プログラム・インターフェース)への取り組みが、いま最も注目を浴びている。本欄は過去に、「英米の国家間競争 オープンAPI」(124号)、「オープンバンクの船出 BBVA」(182号)など、米国では後れを取り、欧州が先行する事情を紹介してきた。
先月に、この「グローバルな取り組み状況」について、オープンバンク・プロジェクト(「WebやモバイルアプリのAPIの標準化」をドイツから推進)、ウォーリック大学(英国でのコンピューササイエンス教育や研究をリードしている)、バンク・イノベーション(米国の情報サイト)の3者による調査結果が、「Understanding APIsIN BANKING 2017」として公表された。概要を紹介する。
今回の調査結果で、APIへの取り組みの障害になっている3大要因、「企業文化」が前年の66.2%から52.6%に減少、「理解不足」は48.7%から46.2%に横ばい、「セキュリティ」問題も44.1%から43.6%に下がっているが横ばいと、それぞれがなお、依然として高い比率を示したと再確認されている。
先月に、この「グローバルな取り組み状況」について、オープンバンク・プロジェクト(「WebやモバイルアプリのAPIの標準化」をドイツから推進)、ウォーリック大学(英国でのコンピューササイエンス教育や研究をリードしている)、バンク・イノベーション(米国の情報サイト)の3者による調査結果が、「Understanding APIsIN BANKING 2017」として公表された。概要を紹介する。
今回の調査結果で、APIへの取り組みの障害になっている3大要因、「企業文化」が前年の66.2%から52.6%に減少、「理解不足」は48.7%から46.2%に横ばい、「セキュリティ」問題も44.1%から43.6%に下がっているが横ばいと、それぞれがなお、依然として高い比率を示したと再確認されている。
・・・続きは紙面に掲載
【187】2017年7月17日付 フィンテック最新事情(59)
デジタル・トランスフォーメーション DBS銀(下)
DBS銀行(シンガポール)のピュシュ・グプタCEOは2014年に、今後5年間の海外進出戦略計画の中で「クロスボーダーのマーケットに進出するには、買収でなく、デジタルバンキングによるべき」だと発表していた(本稿14年5月19日)。
この発表の前年に、南西アジアでは最大の顧客市場を持つインドネシアに本格参入を目指していたが、インドネシア政府の方針転換から2600支店を持つダナモン銀行(同国6位)への買収計画が、直前になって断念させられた経験をもっている。
そのDBSが昨年ユーロマネーからワールド・ベスト・デジタルバンクの表彰を受けた( 前号)。その理由の1つが「昨年4月の営業店を持たないdigibankによるインド市場進出」で、これについてアメリカンバンカー紙(6月19日付)は「米国の大手の数行が、いまだバーチャル・アシスタントを開発中なのに、すでにDBSはAI(人工知能)を使ったチャットボットを全面的に使い、1年も前からインドで成功させている」と紹介した。
この発表の前年に、南西アジアでは最大の顧客市場を持つインドネシアに本格参入を目指していたが、インドネシア政府の方針転換から2600支店を持つダナモン銀行(同国6位)への買収計画が、直前になって断念させられた経験をもっている。
そのDBSが昨年ユーロマネーからワールド・ベスト・デジタルバンクの表彰を受けた( 前号)。その理由の1つが「昨年4月の営業店を持たないdigibankによるインド市場進出」で、これについてアメリカンバンカー紙(6月19日付)は「米国の大手の数行が、いまだバーチャル・アシスタントを開発中なのに、すでにDBSはAI(人工知能)を使ったチャットボットを全面的に使い、1年も前からインドで成功させている」と紹介した。
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【186】2017年7月10日付 フィンテック最新事情(58)
デジタル・トランスフォーメーション DBS銀(上)
シンガポールのD B S 銀行は、アジアで初めてユーロマネー誌の「ワールド・ベスト・デジタル・バンク2016」に、16年7月、選ばれた。最近、銀行のデジタルト・ランスフォーメーションに注目が集まる。フォーブス誌は「インビジブルな銀行で良いとするDBS銀行が、なぜ世界のベスト・デジタル・バンクに選ばれたのか」の見出し(16年12月23日付)でDBSに注目した。
そこにあるのはテクノロジーの議論ではなく、銀行の文化、銀行の内部に根付く体質そのものを転換することであった。
この改革のために、最新テクノロジーを駆使する事は言うまでもないが、DBS銀行の経営者は「これまでの社会環境がデジタル社会に大転換していく中で、銀行自身も大きな転換を求められている」との強い危機感を持っていた。「強力な他業界からの参入者との競争に生き抜いていく、このための最大の障害とは、実は銀行内部の文化や体質にあった」のだと、フォーブス誌は指摘する。
そこにあるのはテクノロジーの議論ではなく、銀行の文化、銀行の内部に根付く体質そのものを転換することであった。
この改革のために、最新テクノロジーを駆使する事は言うまでもないが、DBS銀行の経営者は「これまでの社会環境がデジタル社会に大転換していく中で、銀行自身も大きな転換を求められている」との強い危機感を持っていた。「強力な他業界からの参入者との競争に生き抜いていく、このための最大の障害とは、実は銀行内部の文化や体質にあった」のだと、フォーブス誌は指摘する。
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【185】2017年7月3日付 フィンテック最新事情(57)
チャネルは、オムニデジタルへ
銀行業界のチャネル議論を振り返ると、まず営業店ネットワークのチャネルが原点。これに電話バンキングと50年前からCD/ATMのセルフサービスが加わり、1990年代後半のインターネットの普及でWeb・インターネット・バンキングのデジタルチャネル化が進み、これらをマルチチャネルと呼ぶ時代が続いた。
一方、流通業界では2011年頃から、「バーチャル、リアルのチャネルすべてを駆使し、顧客にチャネルを統合化したサービスを提供する」オムニチャネルのコンセプトが導入された。しかも、顧客のデジタル化の強い流れに押されて「PC、スマホ、タブレットを使うハイブリッドデジタルユーザ:オムニデジタル」をターゲットにしたマーケティング議論が15年頃から始まっていた。
銀行業界でも13年頃からオムニチャネルのコンセプトに基づく経営戦略が徐々に広がってきたのは事実である。
ここ数年、銀行業界でのマルチチャネルの議論では、リアルの営業店からハイブリッドデジタルへ取引が急激にシフトしてきたことから、「営業店は死んだ」とまでの極端な展望が話題となった。
一方、流通業界では2011年頃から、「バーチャル、リアルのチャネルすべてを駆使し、顧客にチャネルを統合化したサービスを提供する」オムニチャネルのコンセプトが導入された。しかも、顧客のデジタル化の強い流れに押されて「PC、スマホ、タブレットを使うハイブリッドデジタルユーザ:オムニデジタル」をターゲットにしたマーケティング議論が15年頃から始まっていた。
銀行業界でも13年頃からオムニチャネルのコンセプトに基づく経営戦略が徐々に広がってきたのは事実である。
ここ数年、銀行業界でのマルチチャネルの議論では、リアルの営業店からハイブリッドデジタルへ取引が急激にシフトしてきたことから、「営業店は死んだ」とまでの極端な展望が話題となった。
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