2014年6月16日
2014年6月16日付 第2801号
〈1面〉自民が農協改革案 郵政の前例 懸命に回避
自民党は9日と10日に農林水産戦略調査会・農林部会農業委員会・農業生産法人に関する検討PT(プロジェクト・チーム)、新農政における農協の役割に関する検討PT会合=写真=を開き「農協・農業委員会改革案」の党内了承をとった。最後まで注目された単位農協の信用事業(預貯金・貸出、生損保)は「農林中央金庫・信連で扱い、単位農協のなかでの限られた農協での扱いは例外的に認めるが、原則は代理店として存続、農林中金・信連に、与信リスクを譲渡する」との内容で決着した。この改革に5年間かける。
〈2面〉3月総会 議案別賛成率 社外取ゼロで低下
3月期決算企業の2014年の定時株主総会の開催は23日から本格的に始まり、27日に集中日(815社)を迎える。大和総研が1~5月に株主総会を終えた企業の議案別賛成率を調べたところ、取締役選任で社外取締役を設置していない場合、機関投資家はコーポレート・ガバナンスが不十分と判断し、トップの選任議案の賛成率が低下する傾向となった。独立性に疑義のある社外監査役に対しても、機関投資家は厳しい見方を示した。今年2月に東京証券取引所は上場会社に対し、独立取締役を少なくとも1人以上確保する努力義務を課す改正を行った。会社法の改正も進む。金融庁が2月に発表した「日本版スチュワードシップ・コード」(責任ある機関投資家の諸原則)により、6月総会は取締役選任議案などでより厳しい態度を示す可能性がある。
〈3面〉三井住友銀 銀証一体 上期に全店拡大
三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下の中核子会社、三井住友銀行とSMBC日興証券=写真=は「リテール銀証連携」への取り組みを一段と加速している。2013年度下期に三井住友銀31拠点、SMBC日興22拠点に導入していた銀証リテール一体化モデルの試行は順調に推移していると判断。早ければ14年度上期中の全店展開を目指す。両社を合わせて13年度は約70兆円規模のリテール預かり資産を16年度には20%以上の増加を狙う。三井住友銀の大西幸彦常務執行役員・経営企画部長は銀証リテール一体化の進ちょくについて「手探りで始めたが、顧客の反応は好意的だ」との見方を示した。
収益拡大を見込むSMBC日興証券
〈4面〉八十二銀 女性の起業・創業支援
八十二銀行は来月、女性の起業や創業をテーマにしたサミットおよびセミナーを相次いで開催する。安倍政権がその成長戦略において日本の経済再生のために女性の積極的な活用を求める中、同行でも、地元長野県の事業者や起業・創業を検討している女性に対する支援体制を強めていく考えだ。
〈5面〉鶴岡信金 「婚活定積」開始
鶴岡信用金庫(本店=山形県鶴岡市)は2日から「しんきん婚活応援定期積金『Cupid』(クピド)」の取り扱いを開始した。行政と連携して婚活を積極的に支援するほかに、若年層への取引拡大の狙いもある。特典は出会いの場の提供だ。同信金や鶴岡市が行うさまざまな婚活イベントに参加できる。ギリシャ語のクピドは英語でキューピット(ローマ神話の愛の神)をあらわす。出会いの場を求め婚活定積の契約を機に理想の相手をゲットできるか、期待が高まっている。
〈5面〉「SCOM2014」盛況
最先端のICT製品や技術を一堂に展示する「しんきんコミュニケーションフェア2014(SCOM2014、主催しんきん情報サービスSIS)」が6月4日、5日の2日間、東京流通センターで開かれ盛況となった。今回は23社の出展企業がさまざまなソリューションを訴求した。SISブースではSISセンター保管型防犯録画管理サービス、公共料金等の窓口収納サービスを紹介した。特に注目が集まったのが「新しんきん為替集中サービス」だ。イメージスキャナの読み取り方式で営業店TM端末との連携や、新たに営業店に管理PCを設置することで、営業店での運用・管理を可能にして本部事務処理を軽減している。会場ではデモにより従来のFAX方式との違いを詳しく説明していた。
全国から信金関係者が多数来場した
〈6面〉第一生命 プロテクティブ生命を買収
第一生命は4日、米プロテクティブ生命の買収手続きで同社と合意したことを明らかにした。早ければ12月にも手続きが完了する。買収総額は57億800万ドル(約5822億円)で、国内保険会社の海外M&Aでは過去最大規模。同社は生保大手4社のうち唯一、2010年に相互会社から株式会社に転換、上場している。当初からM&Aでの海外進出に狙いがあった。今回も最大2500億円を普通株式で調達する予定で、株式会社化の利点が生きた格好だ。
〈7面〉銀行ローン保証 リテール強化 追い風
クレジットカード・信販会社や消費者金融会社が手がける金融機関向けのローン保証が好調だ。金融機関の収益性向上の動きが事業性・個人ローンの強化へと向かっており、2014年度もボリュームのさらなる拡大が期待できそうだ。IT化の進展を背景にしたネットローンやリトライ型など、商品・仕組みは多様化。市場は寡占化傾向を強めるものの、新規参入はじわり増えている。
〈8面〉Runner じぶん銀行
じぶん銀行は2010年から「スマホ銀行」を標ぼうする。それだけに基本的な金融商品・サービスの提供はもちろんのこと、スマートフォン向け専用のアプリ開発力では群を抜く。現在の顧客数は約160万人(口座)。08年の開業以降、順調に規模を拡大しているが、さらに顧客基盤の拡大につなげる新機軸を5月に打ち出した。親会社の1社、KDDI(au)との連携を強化した、auユーザーに限定した口座特典プログラムの提供開始だ。au約3900万契約者にスマホ銀行ならではの使い勝手をアピールする狙いは早くも関心を集めており、口座獲得の増加に表れている。同行の吉川徹執行役員(経営企画担当)は「今後もスマホに関連した付帯サービス、付加価値を進化させていく」と意気込む。
「au WALLET」を発表するKDDIの田中孝司社長(右から2人目)と所ジョージさん(同3人目)