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4月

【260】 2019年4月22日付 フィンテック最新事情(118)

「我々は全力でクラウドの活用に向かっている」とダイモン氏
「中国のAI」は本物 ダイモンCEOのレター
 
 毎年恒例のダイモンCEO(JPモルガン銀)が発信する株主向けレターが話題となる時期になった。そして今年の内容は、今までと異なるスタンスであると報道されている。
 昨年の今頃、ダイモン氏は頻繁にワシントンに行っていたと報じられていたが、今年は大統領選に出馬するのを断念し、ビジネスに身を置いた立場からの発言で政策に影響を与える事を選んだようだ。今までの発言より、広範囲に、政策、社会問題、銀行業界だけでなくビジネス全般にわたる課題と提言の内容になっている。(4月4日、51頁)
 昨年には中国にスタッフを派遣し、中国の金融技術の現状、AI、クラウドコンピューティング、フィンテックを調査。中国が進めている現実に驚き、将来を心配するどころか「我々も急がなければと、危機意識に火がついた」と述べている。
 すでに別の機会に、本来なら銀行が果たすべき事業を「SquareやPayPalが実現しており、SMBオンラインローン分野はフィンテックに負けた」とも発言していた矢先の事である。
 レターの中に「クラウドと人工知能の重要性」の項目を設定、これを下記のように説明した。
・・・続きは紙面に掲載

【259】 2019年4月15日付 フィンテック最新事情(117)

スマホ完結決済にいかに付加価値がつくかが課題
顧客との接点を広める P2Pペイメント・サービス
 
 これまで個人間送金(P2P)でのサービス競争を「フィンテックと銀行との戦い」を象徴すると注目してVenmo(フィンテック)とそれに対抗するZelle(銀行連合)の戦況を伝えてきた。当初フィンテックとして立ち上げたVenmoが若者に受け入れられ、米国で爆発的に利用されるようになった。この市場の変化に危機感を感じた大手銀が共同戦線を張ったのがZelleである。ようやく大手行、特にバンカメの積極的なプロモーションと、地銀などの中小銀行が徐々に参加し始めたことが功を奏して、Zelleの取扱額が年率60%増の1,119憶ドルになった。これに対してVenmoも前年度比79%増の620億ドルだった。広い顧客層を持つ銀行連合が強みを発揮し始めたようだ。
 ただし、フィンテックが取り組んで顧客に受け入れられたP2Pペイメント・サービスではあるが、銀行業界に共通するサービスとして、国民の誰もが使えるサービスになってほしいと筆者は期待している。銀行業界はこのために、どのようにサービスを共通化で出来るのであろうか。いまだ、個々の銀行でのデジタル化・モバイルファーストへの取り組みに違いがある。
 米銀業界でも、銀行間の規模格差、対象とする顧客層、サービスに取り込むためのコストなどで議論があり、まだ本格的に共通サービスとして実現するには長い道のりがあるようだ。
・・・続きは紙面に掲載

【258】 2019年4月8日付 フィンテック最新事情(116)

Revolutの広告コピーが炎上した(ロンドンの地下鉄)
成長を急ぎ過ぎたRevolut ユニコーンへの道
 
 フィンテックの世界では、エストニア出身の若者が国際間の個人送金サービス「TransferWise」で大きな話題を集めた。それは「利益を出すより、ビジネスの拡大に投資する」と宣言、パンツとブラジャーだけの男女がロンドンの金融街シティを練り歩いた。「我々に、隠された手数料はない」、「銀行手数料よ、さようなら」の大々的な広告キャンペーンを打った(本稿138号16年3月13日)。そして今回、フィンテック仲間からも業界の評判まで心配する声が報道されている。
 「我々は金融業界のウーバー」だと自負するチャレンジャーバンクRevolutの急激なビジネス拡大戦略についてである。ロンドンの地下鉄に顧客の消費性向をもじり「バレンタインデーの日に、たった一人分の持ち帰りをした12,750人のあなた。大丈夫?」このコピーが炎上して、多くのメディアがこれを取り上げた。世間の反応は、この広告コピーが「ひとり身を恥だと思わせる」点にある。この報道を含め最近になってRevolutに関連する暗いニュースが続いている。
・・・続きは紙面に掲載

【257】 2019年4月1日付 フィンテック最新事情(115)

「若い企業の力をそぎ落としている」と報道された
「もはや買収や提携の必要はない」
 
 これまでに本稿は、フィンテックには「継続的な投資期待を象徴する動き」だけを紹介してきている。しかし3月に入って気になるニュースが立て続けに二つ飛び込んできた。その概要を紹介する。
 最初は、3月12日にニューヨークで開催された「Fintech Rising 2019 Summit」での議論の一部。「VCのベテランフィンテック投資家から銀行へ:我々の真似をしてはだめだ」と報道されたュースである。(アメリカンバンカー紙、3月12日付)
 「企業は1億ドルの資金を使って“スタートアップ劇場” を展開した。しかし投資対効果を求めるゆえに、「管理を強め、若い企業の力をそぎ落としている」。もしくは、「自社内にビジネス開発イノベーション部門をつくり、立上げのために時間を浪費しているか、わざわざ昔ながらの自社のVCを立ち上げている」。VC投資の役割は、「スタートアップの開発を失敗させないよう支援するのがもっとも重要なこと」で
ある。
・・・続きは紙面に掲載
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