2月
【168】2017年2月27日付 サイバーリスク最新事情㉕
金融監督庁のサイトから、感染した
米国チェース銀行のダイモンCEOは「まるで戦争だ」(2014年10月の決算発表)とサイバー攻撃を表現した。ハッカー集団が、他産業とまったく変わらずに産業構造化し、ハッキングの技術革新によって常に進展している(当欄69号本紙14年11月10日付参照)。金融業界は今、この現実に直面している。
昨年にはバングラデシュの中央銀行の持つニューヨーク連邦銀行の口座からSWIFTを経由し、9億5100万㌦がフィリピンにある5つの銀行口座に送られた。そのうちの8100万㌦は、カジノ経由で資金洗浄され、消えてしまった。あまりに有名なこの事件だが、SWIFT自体をハッキングされたわけではないが、銀行業界を支えるグローバルなペイメントシステム上で起きたハッキングであり、金融業界には大きな衝撃だった。
今年に入って、「何も見えない、銀行への新たなサイバー攻撃」(アメリカン・バンカー紙2月8日付)と、衝撃的な報道が続いた。同時に、カスペルスキー(セキュリティーソフト)社からも、「メモリーに潜み、痕跡を消す〝見えない〟攻撃を発見した」と発表があった。
昨年にはバングラデシュの中央銀行の持つニューヨーク連邦銀行の口座からSWIFTを経由し、9億5100万㌦がフィリピンにある5つの銀行口座に送られた。そのうちの8100万㌦は、カジノ経由で資金洗浄され、消えてしまった。あまりに有名なこの事件だが、SWIFT自体をハッキングされたわけではないが、銀行業界を支えるグローバルなペイメントシステム上で起きたハッキングであり、金融業界には大きな衝撃だった。
今年に入って、「何も見えない、銀行への新たなサイバー攻撃」(アメリカン・バンカー紙2月8日付)と、衝撃的な報道が続いた。同時に、カスペルスキー(セキュリティーソフト)社からも、「メモリーに潜み、痕跡を消す〝見えない〟攻撃を発見した」と発表があった。
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【167】2017年2月20日付 バンクビジネス最新事情⑦
銀行の体質変えた「デジタルバンク」
主要なニュースに「デジタル・トランスフォーメーション」との言葉が目につく。「BNPパリバは、デジタル・トランスフォーメーションに30億ユーロを投資」(フィナンシャル・タイムズ紙2月7日)と報道。BNPパリバが2016年第Ⅳ四半期決算で予算を下回った利益水準にかかわらず、今後3年間でデジタル・テクノロジーに30億ユーロを投資する計画を持つ」との内容だった。
このデジタル・トランスフォーメーションを「デジタルバンクとなるための準備、もしくは体質改善・変革」だと理解すると、これはテクノロジーだけの問題にとどまらず、銀行のカルチャー、タレント(人材)・組織・商品サービスのコンセプトさえも、デジタル社会の銀行にむけた体質に、改善が求められていることになる。
この観点から、カナダのスコティア銀行は2月2日、自行のデジタルバンクへ体質改善のプロセス報告(Digital Banking Update:105頁ものプレゼンテーション)を新聞発表している。デジタルバンクの全体像が、とくに定量的に表現されている。その概要を紹介する。
このデジタル・トランスフォーメーションを「デジタルバンクとなるための準備、もしくは体質改善・変革」だと理解すると、これはテクノロジーだけの問題にとどまらず、銀行のカルチャー、タレント(人材)・組織・商品サービスのコンセプトさえも、デジタル社会の銀行にむけた体質に、改善が求められていることになる。
この観点から、カナダのスコティア銀行は2月2日、自行のデジタルバンクへ体質改善のプロセス報告(Digital Banking Update:105頁ものプレゼンテーション)を新聞発表している。デジタルバンクの全体像が、とくに定量的に表現されている。その概要を紹介する。
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【166】2017年2月13日付 フィンテック最新事情㊸
共有API、チェースとIntuitが連携
20年前のシリコンバレーでは、インターネット社会を支えるテクノロジーとビジネスモデルに、ベンチャーキャピタルからの投資が急増していた。多くのスタートアップが「アカウント・アグリゲーション(口座情報の集約)」の開発に、しのぎを削り合っていた。その代表格はYodleeである。
当時はスクリーン・スクレイピングと呼ばれる顧客の銀行口座の番号とパスワードを使って、銀行に相談もなく、無断でウェブサイトに入り込み、口座のデータをいわば盗み取るような方式。危険極まりないものだった。
しかし、消費者が複数の金融機関と取引口座を持つことが当たり前の社会である。アグリゲーション技術は便利であったために、危険は認識されながら、今でも使われている。しかもこの技術は他業界のサービスにも使われ、広がっている。
これに警鐘を鳴らしたのが、多くのモバイルバンキング・ユーザーを抱え、デジタルバンクを進化させているチェース銀行(2650万ユーザー)と、ウェルズ・ファーゴ銀行(1960万ユーザー)だった。
当時はスクリーン・スクレイピングと呼ばれる顧客の銀行口座の番号とパスワードを使って、銀行に相談もなく、無断でウェブサイトに入り込み、口座のデータをいわば盗み取るような方式。危険極まりないものだった。
しかし、消費者が複数の金融機関と取引口座を持つことが当たり前の社会である。アグリゲーション技術は便利であったために、危険は認識されながら、今でも使われている。しかもこの技術は他業界のサービスにも使われ、広がっている。
これに警鐘を鳴らしたのが、多くのモバイルバンキング・ユーザーを抱え、デジタルバンクを進化させているチェース銀行(2650万ユーザー)と、ウェルズ・ファーゴ銀行(1960万ユーザー)だった。
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【165】2017年2月6日付 バンクビジネス最新事情⑥
救世主は「郵便局連携」 店舗撤退が急増
5大銀行だけで85%の寡占状態にある英国銀行業界で、1月24日(火)に2件の新聞発表が同時に行われた。その1つは大手行の一角を占めるHSBCからのもので、「62支店を閉鎖。昨年すでに発表していた予定分55支店を加え、年内に117支店を閉鎖する」。この経営判断は、「継続できる支店網の再構築とデジタル化と行員教育に集中投資するため」。「すでに顧客から銀行へのアクセスのうち90%はデジタルチャネル。この数値は昨年に80%も増えた。それにともない顧客の来店する機会は過去5年間、40%も減少している」と発表した。
デジタルバンクへのシフトが鮮明になり、銀行オペレーションに影響を与えている数字が公表された。もちろん金融危機以来から続くコスト削減の課題もあり、この支店削減の経営判断は、なにもHSBCだけのことではない。
この2年間に大手5行が閉鎖した支店数と削減率は、HSBC(321支店、27%減)、ロイズ(180支店、14%減)、RBS(191支店、10%減)、バークレイズ(132支店、8%減)、サンタンデール(87支店、8%減)。業界全体で1045支店が閉鎖され、支店数は11%も減少した。
デジタルバンクへのシフトが鮮明になり、銀行オペレーションに影響を与えている数字が公表された。もちろん金融危機以来から続くコスト削減の課題もあり、この支店削減の経営判断は、なにもHSBCだけのことではない。
この2年間に大手5行が閉鎖した支店数と削減率は、HSBC(321支店、27%減)、ロイズ(180支店、14%減)、RBS(191支店、10%減)、バークレイズ(132支店、8%減)、サンタンデール(87支店、8%減)。業界全体で1045支店が閉鎖され、支店数は11%も減少した。
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