2017年1月1日
【新年特集号】2017年1月1日付 第2916号
1面
金融機関の稼ぐ力
今、再び「顧客のために」
求められる自主自律、他にない何かを
グローバルな感覚を
今月20日には米国の新大統領にドナルド・トランプ氏が就任、英国のEU離脱など不確実な経営環境が続く中、「今、金融機関にとって『稼ぐ力』とは何か」を尋ねると、あるメガバンク幹部は、こちらが聞きたいくらいだと笑いながらも「やはり真の意味で、本当に顧客のためを考えることに尽きるのではないか」と応じた。金融行政手法も当局主体の規制から、金融機関が自主的に取り組み自律的に改善するいわばプリンシプル(原則)ベースに大転換した。政府の看板政策である「地方創生」は、永続的な地方活性化を狙う。地域企業の業績が上がり賃金が改善すれば、金融機関も安定的に共に成長する。雇用が上向けば人口流入も見込める―。こう描く「好循環の成功図」に、金融機関はどう向き合おうとしているのだろうか。 【関連記事2・3面】
2・3面(特集 稼ぐ力)
低金利に反撃の〝狼煙〟 連携で地域・企業テコ入れ
意識改革、悩み解決を儲けの種に
金融機関の「稼ぐ力」が今ほど求められている時代はない。金融機関は「経済の縮図」としての性格をあわせ持つ。その業績は経済の動きにおおむね歩調を合わせる形で上下してきた。中長期的に経済が成長に向かっている間はそれでも通用したが、すでに日本経済は趨勢的に縮小に向かいつつある。人口減や資金需要減という金融機関経営にとって極めて厳しい逆風の中で無策でいることは、将来の経営自体を危うくしかねない。地域金融機関が知恵を凝らして取り組む「稼ぐ力」の一端を紹介する。
4面(東海地区特集)
マイナス金利副作用 数字から変遷たどる
負の循環 断ち切るには 将来の行き先 決める時
貸出 堅調に推移 資金利益は減少
利ざや確保に 知恵絞る金融界
収益性の低下 歯止めかからず
【名古屋】全国のなかでも経済指標が比較的良好な東海地区。その中核・愛知県はリニア中央新幹線をはじめとした経済活性化につながるプロジェクトが目白押しだ。人口は微減に転じるも世帯数は増加を示すデータなどは、恵まれた環境を表している。ただ金融業界の景色は違う。低金利での貸出競争に、この地区でも日銀のマイナス金利政策の副作用がずしりと響く。存在感のある金融機関が多いだけに、負の循環を断ち切る施策の実効性はモデルとなろう。数字のうえから兆しをとらえることはできるのか。
5面(近畿地区特集)
アグリビジネスに熱視線
近畿地区金融機関の農業支援
融資やファンドで「地域の宝」発掘
製造業の資金需要が伸び悩む中、民間金融機関がアグリビジネスに熱い視線を送っている。これまで農業と言えば農協や政府系金融機関の牙城で、地銀や信金とは遠かった。しかしアベノミクスで農業が成長分野に掲げられたことで、専用の融資商品を開発したり、新たに専門セクションを設け支援や営業に力を入れる動きが広がっている。関係者からは「TPP(環太平洋パートナーシップ)の行方は別にしてもアグリビジネスは地方復活の起爆剤になる力を秘めている」との声も。近畿地区金融機関の最新動向を取材した。
7面(店舗特集)
変貌遂げる営業拠点
個打ち出性し利便高める
金融機関が営業拠点の機能強化・高度化を図る投資が活発だ。地域特性を踏まえた店内外両面を刷新すると同時に個性を打ち出し、顧客の使い勝手をさらに高めている。規制緩和の流れを受け、自前主義から脱却して、他業種とのコラボレーションも定着してきた。フィンテックの進展をにらみ拠点そのもののあり方を再検証・再構築する時代に入ってきている。だがトレンドに応じ変貌しつつも、常に顧客と接する場の基本的な思想は不変のようだ。営業拠点は今後、どのように進化していくのか。注目を集める移動店舗、不動産活用の複合ビル、サイクルステーション(自転車愛好家の休憩基地)、街並みに調和した店舗など特色ある拠点を紹介し「少し先の未来」を探る。
9面(企画特集)
【座談会 2017年先物マーケットを読む】
金融市場、グローバルに つなぐ・つながる
日本を「国際金融センター」に
超低金利下の市場環境の中、金融機関で「運用の多様化、高度化」が叫ばれている。リスクヘッジの場、と位置付けられる先物マーケットにその一翼を担うことが期待されている。フィデリティ傘下として市場をつなぐColtテクノロジーサービス(Colt)執行役員の平井敬人氏をファシリテーターに、先物市場の鍵を握る3人に今年を展望してもらう。3人は日本の国際金融機能の充実で海外の投資家を呼び込み、国外に離れた投資家を再び日本に呼び戻そうと尽力している。
10面(総合)
IT戦略 「超党派」議連が発足
マイナンバーの民間相互活用 制度整備求める
自民党IT戦略特命委員会は、昨年12月13日に「官民データ活用推進基本法」の展開を政府に求める提言をまとめた。また会期末となった同14日、超党派の「デジタルソサエティ推進議員連盟」を自民・民進・公明・維新の4党で設立。平井たくや(自民)、高井たかし(民進=原口一博氏の代理)、髙木美智代(公明)各氏が出席(維新=浦野靖人氏は欠席)した。
11面(信金・信組)
城南信金
スマホで口座開設 信金業界初、今年4月から
情報発信、ポータルサイトでも
城南信用金庫(本店=東京都品川区)は信用金庫業界初となる「新規口座開設機能付アプリ」を2017年4月から提供する。スマートフォン向けのポータルアプリで、店頭に一度も来店しなくても普通預金口座を開設。開設後もポータルサイトを通して商品やキャンペーン情報が得られる。