2015年7月6日
2015年7月6日 第2848号
〈1面〉限度額アップ 実現越年も ゆうちょ
2度の自民総務会 異例の攻防戦 政治決着めざし、激しい動き
自民党は6月26日の総務会で、郵政民営化特命委員会(委員長=細田博之衆院議員)から提出されていた「日本郵政グループ3社の株式上場における郵政事業のあり方に関する提言」を、予定時間を大幅に上回る1時間の審議を行い了承した。年内上場を目指す日本郵政グループを支援する立場から昨年の衆院選で「(預入)限度額見直しの検討」を公約に入れ、今回の提言で別表の内容を政府に速やかに実行するように求めた。関係者は「この提言によって、改正郵政民営化法の附帯決議は消滅した」と説明した。ただし、提言は9月にも2000万円への実施を求めたが、政令での対応は間に合わないようだ。郵政民営化委員会でのパブリックコメントを経る必要があり、手続きを終えるには相当な時間がかかりそう。注目の民営化委は9日に開かれる。「実現するのは来年」との見方まである。
〈2面〉全国信金大会「ゆうちょ」肥大化に注文
限度額引上げで大前会長 「容認できず」 安倍首相「円滑な資金供給を」
全国信用金庫大会が6月19日、東京・大手町の経団連会館で盛大に開かれた。大会には安倍晋三首相、麻生太郎・金融担当相、宮沢洋一・経済産業相、中曽宏・日本銀行副総裁、三村明夫・日本商工会議所会頭が出席、全国の信金理事長ら約800人が集結し実りある大会となった。
大会で大前孝治・全信協会長は信金業界が取り組むべき課題について言及した。「まち・ひと・しごと・創生総合戦略」においては「地方公共団体、商工会議所、大学などと連携を強化し官民一体となって中小企業再生、地域活性化に取り組んでいきたい」と語った。
注文を付けたのがゆうちょ銀行の肥大化。預入限度額の大幅な引き上げについて「地域金融システムそのものが崩壊する事態にもなりかねない。地域金融の円滑化、安定化のためにゆうちょ銀行の肥大化は絶対に避けなければならない」と理解を求めた。
全国の理事長らが出席し、盛大に開催された信金大会
〈3面〉2販路開拓を支援 ネット流通大手 地域金融と連携強化
楽天は海外EC推進も 提携は33先に拡大
ネット流通大手が地域金融機関とのビジネスマッチング提携をじわりと広げている。先行する楽天は、国内はもとより最近は海外への販路開拓支援の強化に乗り出している。スマホの普及でネット市場は急拡大しているが、効果を上げるには一定のノウハウがいる。地域金融機関はネット企業と連携し、取引先の電子商取引(EC)拡大を支援している。
〈4面〉DB年金 運用体制 財務負担回避へ転換 高水準の剰余金受け
確定給付企業年金(DB年金)が新たな運用体制にかじを切り始めている。高水準の剰余金を受けた対応だ。運用リスクを高めるのではなく、下方リスク削減に重点を置いて、母体への財務負担を回避しようとする動き(リスク・ニュートラル)の姿勢に転換し始めた。国内債券の削減傾向は継続している一方で、外国債券・オルタナティブ資産への配分は増加傾向にある。
〈5面〉東京に初の法人営業所開設 京葉銀 五輪開催にらみ商圏拡大へ
京葉銀行は1日、法人顧客を中心とした事業性融資を行う営業活動拠点として、東京都江東区に東陽町法人営業所を開設した。同行は1964年10月に東京支店を開設しているが、それ以来51年ぶりの東京における拠点新設となる。また、同じ千葉県の千葉銀行が積極的に近隣都県に店舗を設置する拡大路線を取っているのとは対照的に、同行はこれまで千葉県内での店舗網構築に拘泥してきたが、今回の動きは従来から一歩踏み込んだ戦略とみられる。
川崎信用金庫(本店=神奈川県川崎市)は1日から、入庫後平均して10年未満の先輩職員が後輩職員を指導する「メンター制度」を導入した。今春入庫した新入職員51人が同日付で本採用となったことを受け、それぞれ各1人のメンターを任命した。新入職員と年齢の近い同性の先輩職員をペアにすることで相談しやすい環境を提供し、課題解決や悩みの解消を支援するのが狙いだ。メンターとなる先輩職員も、将来の管理職として部下指導の訓練にもなる。
来年3月末まで二人三脚で密なコミュニケーションをとっていく第1期組
〈7面〉「地域活性化しんきん運動優秀賞」受賞
商店街と信金つなぐ 大阪シティ信金 河村正雄理事長に聞く
「近くて便利」高齢化対策にも
【大阪】大阪シティ信用金庫は6月19日、「第18回信用金庫社会貢献賞」の「地域活性化しんきん運動優秀賞」を受賞した。地元商店街に対する「シティ信金商店街PLUS事業」が高い評価を受けた。天神橋筋商店街への活性化支援活動に端を発したこれまでの活動について、発案者の河村正雄理事長に聞いた。
〈8面〉『Runner』 日本公庫 中小企業事業本部
今春、東西に支援センター 新事業育成資金 14年度過去最高
「リスクを取る」ベンチャー支援
日本政策金融公庫・中小企業事業本部は2015年度、全国の営業現場にあるメッセージを発した。「リスクを取ろう」。民間金融機関が取りづらいリスクを制度対応で補完する政府系金融機関に求められる役割を、さらに徹底していこうとする目的からだ。その一翼を担う、高い成長が見込まれる新たな事業へ取り組む中小・ベンチャー企業を支援する「新事業育成資金」は14年度、過去最高の実績を残した。同本部で営業部門長を務める原田高道・常務取締役は「地域のネットワークを使ってベンチャー企業を発掘・支援していくことで地域経済の活性化に貢献する」と話す。