2014年9月8日
2014年9月8日付 第2811号
〈1面〉「ローカル・アベノミクス」概算要求
第2次安倍改造内閣の政策の柱となる「ローカル・アベノミクス」の事業規模が概算要求の内容で判明した。ローカル・アベノミクスと銘打った概算要求を提出したのは経済産業省で、別表のように総額557億円、前年の総事業との比較で3・6倍の要求。経産省全体の一般会計3873億円のうち中小企業対策費1295億円(前年1111億円)の半分をこれに充てた。また国土交通省も昨年に新設した「地域の元気創造プラン」で30億円もの交付金を要求、地域からの成長戦略を支援する。
〈2面〉「損保ジャパン日本興亜」発足
損保大手3グループの一角を占める損保ジャパンと日本興亜損保が1日に合併、新会社「損害保険ジャパン日本興亜」が発足した。一般企業の売上高にあたる正味収入保険料は単体損保として国内トップに躍り出た。すでに完了したシステムの一本化など、今後は合併効果を追求する一方で「サービス産業への進化」を掲げ、新事業を展開する考えだ。1996年の保険自由化に伴い業界地図は一変、再編が進んできたが、これで3グループの戦略が出そろい、三者それぞれの形態で課題となる収益向上に取り組むことになる。
笑顔で握手を交わす損保ジャパン日本興亜の二宮雅也社長(左)と持ち株会社の櫻田謙悟社長
〈3面〉三井住友トラスト基礎研・分析 2050年「都心の限界集落化」も
加速する高齢化の問題は地方での現象ととらえられがちだが、実は都心部ほど深刻な事態になると、三井住友トラスト基礎研究所の研究員が警鐘を鳴らした。大都市圏における人口動態を都市中心から距離別に分析したところ、2010年までは郊外部ほど高齢化率の上昇幅が大きかったが、今後2050年にかけては一転して都心部ほど高齢化の進展が顕著になる結果となった。なかでも東京都心部では高齢化率が45%を超え、「都心の限界集落化」という新たな社会的課題が生じる可能性があると指摘した。高齢化率の上昇抑制につながる施策が求められると同時に、金融ビジネスモデルの転換が迫られそうだ。
〈4面〉「STELLA CUBE」会員地銀8行 災害時相互支援で合意
NTTデータの「STELLA CUBE」のユーザー会会員である東北銀行、東京都民銀行、富山銀行、きらやか銀行、仙台銀行、神奈川銀行、長野銀行、但馬銀行の地域銀行8行はこのほど、災害発生時における相互支援を実施することで合意した。また、8行は取引先向けのビジネスマッチングなどでも連携する。地銀界では、共同のシステムを採用する銀行同士がシステム関連以外の面でも連携を強める動きが目立ってきており、一部からは「地銀再編の引き金になるのではないか」との声も上がっている。
〈5面〉城北信用金庫 湘南信金と連携、販路拡大
城北信用金庫(本店=東京都荒川区)は、取引先の販路拡大で湘南信用金庫(本店=神奈川県横須賀市)と連携しマッチングに成功した。新鮮な野菜を購入したいという卸売業者の要望に応えて信金中央金庫の支援ツールの活用、仲介により商談を実現し8月に契約に結びつけたもの。全国信金のネットワークを使った成功事例として注目を集めそうだ。
〈6面〉MS&ADスタッフサービス 「優良」人材を認定
MS&ADグループの人材派遣会社であるMS&ADスタッフサービスが人材サービスの品質向上に向け、新たな施策を展開中だ。営業担当者全員が保険会社出身であることや即戦力となる保険OGを多数抱える強みを生かす。派遣の肝になるマッチングをきめ細かく行い、グループ各社のニーズ対応だけでなく、グループの保険会社の代理店に優秀な人材を送り込むことで関係を強化する。代理店への派遣はこの3年で2倍になっているという。
〈7面〉消費者委員会 悪質加盟店排除で建議
クレジットカード取引を巡る消費者トラブルの急増を受け、消費者委員会は8月26日の本会議で経済産業省、消費者庁に事態の是正に向けた措置を求める建議を提出した。建議には加盟店の管理徹底や翌月1回払い(マンスリークリア)でも購入代金の支払いを拒否できる権利の新設、消費者教育や情報提供の充実などを盛り込んだ。
〈8面〉Runner 日本貸金業協会
日本貸金業協会は今年6月の総会で、4代目の会長に前セディナ社長の山下一理事を選任した。2006年の改正貸金業法の成立から約8年が経ち、多重債務者数は当時の10分の1、業者数も5分の1に減ったが、改正法が目指した貸金業界の健全化は相当進んだとみてよさそうだ。減少の一途をたどってきた協会員の営業貸付金はすでに単月ベースで増加に転じ、マーケットの回復基調が鮮明になっている。山下会長は「業界は第2ラウンドに入った」と判断。貸金業界の社会的地位の向上に向けて、業界全体の底上げの必要性を強調する。