4月
【425】 2023年4月3日付 フィンテック最新事情(2)
SVBの破綻の前にFRBは大きな問題を察知していた
シリコンバレーといえばフィンテック発祥の地。そのシリコンバレーを本拠地として多くのフィンテック・スタートアップを育て、今ではヨーロッパにまで市場を広げている、あのシリコンバレー銀行(SVB)が米国史上二番目に当たる規模で倒産というニュースが突然飛び込んできて驚かされた。パンデミックを経てインフレと経済環境の変化は、フィンテック投資環境にもインパクトがあり、動向が注視されているのは事実であるが、SVBの倒産のニュースは余りにも唐突であり、疑問が残る。倒産にまつわる背景については経営問題に焦点が当たるのは当然であるが、今回のケースでは、倒産処理に至るスピードの速さがデジタル社会の実態を浮き彫りにした興味深い点についても大きな関心が集まっている。当稿ではニューヨークタイムズ(3月19日付)記事に“シリコンバレー銀行が破綻する前にFRBは大きな問題を察知していた”の見出しで、SVBのショッキングな経営内容が報じられているので、その概要を先に紹介する。
「シリコンバレー銀行の危険な業務は、1年以上前から連邦準備制度理事会(FRB)に目をつけられていた。2021年、FRBは成長する銀行を調査し、主要なリスクへの対応に深刻な弱点があることを発見した。しかし、同行はその脆弱性を修正しなかった。2022年7月までに、シリコンバレー銀行に監督当局の全面的な審査が入り、より注意深く見られるようになり、最終的にガバナンスとコントロールに欠陥があると評価された」。……続きは本紙で。
【426】 2023年4月10日付 フィンテック最新事情(283)
デジタル時代を象徴した破綻劇 SVB
3月10日のシリコン・バレー銀行(SVB)倒産に関する報道の中で、次のニュース3件がデジタル社会とデジタルバンキングの現状を表している見出しとして筆者の目に留まった。最初に“VCとTwitterの嵐がシリコン・バレー銀行を潰すのに貢献したのか?”(アメリカンバンカー紙3月13日付)、次に“デジタル時代が銀行の経営破綻を加速させた理由”(PBSニュース3月15日付)、それに3件目は“ツイッター世代初の銀行危機: 銀行へのプレッシャーは2008年とは全く異なる”(CNBC3月27日付)だ。
最初の記事では、「先週、シリコン・バレー銀行の破綻のスピードは衝撃的であった。ベンチャーキャピタリストたちは、自分たちのポートフォリオにあるハイテク企業に、すべての資金を早く引き出せと言ったのだと非難する人もいる。しかし、究極の失敗は、私たちが共有するエコシステムを蝕んだVCのソーシャルメディア・ツイッター上でのヒステリックな催促からである」と指摘している。……続きは本紙で。
最初の記事では、「先週、シリコン・バレー銀行の破綻のスピードは衝撃的であった。ベンチャーキャピタリストたちは、自分たちのポートフォリオにあるハイテク企業に、すべての資金を早く引き出せと言ったのだと非難する人もいる。しかし、究極の失敗は、私たちが共有するエコシステムを蝕んだVCのソーシャルメディア・ツイッター上でのヒステリックな催促からである」と指摘している。……続きは本紙で。
【427】 2023年4月17日付 フィンテック最新事情(285)
銀行最高経営者が伝えるSVB破綻劇 ダイモンCEO
米国及び世界最大の銀行経営責任者としてJPモーガン・チェース銀行のダイモンCEOが4月4日、恒例の株主向けのレターを発信した。今回は、42ページの株主向けのレターの中から、史上第二位の規模となる米銀シリコン・バレー銀行(SVB)の破綻について述べている“銀行の混乱と規制目標”の章の冒頭部分を抽出して紹介する。
「米国のSVBや欧州のクレディ・スイスの破綻とそれに伴う銀行システムのストレスは、単に規制要件を満たすだけでは十分でないことを物語っている。山積するリスクを管理するには、世界が進化する中で、常に厳しい監視が必要だ。今回の米国の銀行システムの混乱に関しても、ほとんどのリスクは見え隠れしていた。金利エクスポージャー、満期保有目的(HTM)ポートフォリオの公正価値、SVBの無保険預金額は、規制当局と市場の両方から常に知られていた。未知のリスクとは、SVBの35,000を超える法人顧客とその中での活動が、預金を一斉に移動させる少数のベンチャーキャピタル企業によってコントロールされていることだった」。……続きは本紙で。
【428】 2023年4月24日付 フィンテック最新事情(286)
SVB破綻を乗り切ったフィンテック創業者たち
銀行の破綻劇のさなかに生死をかけたドラマが展開される。口座保有者が一早く自分のお金を安全な他の銀行の口座に移しえることが出来たかどうか、どのような手段を取ったのか、そこには口座を持つ預金者の悲喜劇が展開されている。
3月15日付のBanking Diveの記事“フィンテックの創業者たちは3月10日のSVB破綻をどう乗り切ったのか”の記事では、シリコン・バレー銀行(SVB)の多くの顧客であるフィンテック創業者たちのドラマが紹介されている。
銀行の破綻劇のさなかに生死をかけたドラマが展開される。口座保有者が一早く自分のお金を安全な他の銀行の口座に移しえることが出来たかどうか、どのような手段を取ったのか、そこには口座を持つ預金者の悲喜劇が展開されている。
3月15日付のBanking Diveの記事“フィンテックの創業者たちは3月10日のSVB破綻をどう乗り切ったのか”の記事では、シリコン・バレー銀行(SVB)の多くの顧客であるフィンテック創業者たちのドラマが紹介されている。
「スタンシー・エドガーCEOの電話は木曜日(3月9日)に爆発していた。"テキスト、Slack、twitter、すべてが狂っていた。木曜日の早朝から、創業者仲間からメールが届き続けました」と、サンフランシスコに拠点を置くインシュアテック、Venteurの創業者でSVBの長年の顧客であるエドガーCEOは説明する。「投資家からもメールが来て、基本的に全員が『お金を引き出せ、今すぐ』と言ったんです」。彼女はその日の朝、自分の口座にログインしようとしたときに問題があることに気づいた。 そして、それはすべてロックされていた。「経営者として、何かが起こっていることを知るためには、ひどい方法です」と彼女は言った。 ……続きは本紙で。