2022年10月3日
2022年10月3日 第3169号
1面
全銀システム開放 資金移動業者へ 全銀ネット
送金安価に、23年度から API接続も検討
全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は10月からフィンテック企業などに対して銀行間の送金システムである「全国銀行データ通信システム」(全銀システム)への加盟を解禁した。条件を満たせば、2023年度中に参加が可能。全銀システムに加盟することで銀行などへの送金がより安価にできるため、利用者負担を減らすことができ、キャッシュレス決済のさらなる加速が期待されている。
2面
コストから資本への流れ加速 人的資本
非財務情報の可視化 組織改善サービスも
金融機関で人的資本強化の動きが目立つ。政府が「人的資本可視化指針」で非財務情報の見える化を求め、投資家も開示事項と長期的な業績や競争力との関連性に着目する。人をコストではなく付加価値を生む資本と見る考え方が急激なビジネス環境変化で重要度を高める。持続的な企業成長の鍵として取り組む。
3面
県内1行体制に 八十二銀・長野銀
広大なエリアに店舗網 統廃合 他金融機関に影響も
八十二銀行と長野銀行の2行は9月28日、経営統合で基本合意したと発表した。大手行を中心に地域銀行の再編が進む中で、八十二銀はそのような動きとは一線を置いていた。2年後の2025年をめどとする合併が実現すれば、県内に基盤を置く地域銀は合併新銀行のみとなる。県内の他金融機関はもちろん、他地区への影響もありそうだ。
4面
移行金融の指針公表 ATFSG
アジア経済の持続的成長に 日本からのメガバンクらが参加
東南アジアにおけるトランジション・ファイナンス(移行金融)がまた一歩前進した。三菱UFJ銀行や三井住友銀行、みずほフィナンシャルグループ、ASEANなどの主要銀行が参加するアジア・トランジション・ファイナンス・スタディグループ(ATFSG)は9月26日、移行金融の指針をまとめた。脱炭素分野では欧米がリードする中で、方向性などを整備した。アジア経済の持続的な成長につながる「公正かつ秩序あるトランジション」を目指す。
5面
生保エコシステム 新ステージ アイリックコーポ・ぽけん
ヘルスケア分野と連動 中小企業健康経営ツールと
保険販売支援システムのアイリックコーポレーションと企業のヘルスケア関連事業を手がけるぽけん(東京・千代田)が手を組んだ。中小企業の健康経営ツールの利用者に向けオンライン保険サービスを提供する新たな生保エコシステム構築に乗り出した形だ。
6面
スマホ支店「しまホ!」開業 島根銀
連携SBIが協力 集めた資金地元企業に
連携SBIが協力 集めた資金地元企業に
島根銀行が9月26日、スマートフォン支店を開いた。普通預金に年0・25%の高金利を付けて預金を集め、地元企業の応援につなげる。「山陰」自体も訴求する。ネット金融のSBIホールディングスの地域銀連合構想に一番乗りし、2019年に傘下入りした。その知見が生きた格好だ。
7面
広がる代理人サービス 信金業界
城南が先行、今月は京都 認知症に備え、金融取引継続
信用金庫業界で高齢者の認知症に備えた代理人指定サービスが広がっている。預金者が健康なうちに予め代理人を決めておき、認知症で判断力が衰えた場合にサービスが始まる。口座から出金し高齢預金者の生活周りに使う。城南信用金庫(東京・品川)が昨年先行、その後、複数の信用金庫が採用し、今月から京都信用金庫(京都市)も後を追う。手数料の有無や仕組みに違いもある。主要取引層の高齢者にどう安心を届けるか。信用金庫の真価が問われている。
8面(文化)
【Runner】 常陽銀
Jクレ購入選択権付き私募債
環境保護の好循環めざす 全国初 森林組合の販路拡大にも
めぶきフィナンシャルグループ傘下の常陽銀行が、二酸化炭素(CO2)の排出枠取引を認証する「J―クレジット」(Jクレ)の購入できる権利を付けた私募債の取り扱いに乗り出した。Jクレを創出する森林組合はクレジットの販路拡大、私募債の発行企業にとってはCO2排出量を実質的に削減できる効果が期待できる。森林組合、発行企業双方にとって利点が多い。課題もあるが、SDGs推進の観点から後に続くところもありそうだ。