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2015年1月1日

2015年1月1日付 第2825号

新年特集号 飛躍
 
〈1面〉地方再生 次の一手
 
 日本列島に衝撃が走った。「2040年までに896の市町村が消滅する」と予測した日本創生会議(増田寛也座長)の試算発表、いわゆる増田レポ―トだ。減少を続ける若年女性人口の予測から導きだされたデーターで、これにより人口減少問題に対する関心度が一気に高まった。地域を活性化し、人口流出を食い止めるためにはどうしたらよいのか、地域金融機関としての役割は大きい。将来を見据えた地銀再編も加速している。金融機関の地域活性化策、地銀再編の未来図を専門家インビューを含めて紹介する。
 
〈2面〉特集 地方再生 中央大学 山﨑朗教授インタビュー

 地方再生には地域経済の活性化が不可欠。だが、若年者の労働力確保は大きな課題になっている。また、地方の中小企業も厳しい経営状況で、下請けでは生き残れなくなっているのが現実だ。地域を支える金融機関はこれらの課題を解決する重要なミッションがある。「グローバルニッチトップ型中堅企業をどれだけ抱えているかが地域の競争力になる」と語る中央大学経済学部の山﨑朗教授に地方再生の課題や活性化策、金融機関の役割を聞いた。
 
〈3面〉地銀再編は新たな段階へ

 地域経済の活性化に向けて地域金融機関の役割は大きい。求められるのは中小企業などへのコンサルティング能力の発揮だ。金融機関ではこれまで中小企業診断士、会計士、ファイナンシャルプランナー(FP)に力を入れてきた。昨今は、政府の成長分野と位置づける農業、医療・介護、動産評価など高度な金融人材の育成に乗り出している。
 
恵庭市内の農家で経営アドバイスする北海道銀行アグリビジネス推進室のスタッフ
 
〈5面〉「マイナンバー」1年後に迫る コストや事務負荷に懸念

 2016年1月から社会保障・税番号(マイナンバー)制度の運用が始まる。今年10月からは個人番号(12けた)と法人番号(13けた)が通知される。マイナンバーの利用は当面、社会保障・税・災害対策の行政分野に限定されるが、将来的には活用領域が拡大される方向にある。民間企業も源泉徴収などこれらの分野の一部業務を担うため、制度対応は必須だ。なかでも個人番号の取り扱いには厳格な管理を求め、法令違反には厳しい罰則を科す。事業会社の規模に関係なく態勢を整える必要があるだけに、コストや準備遅れの面を懸念する指摘も一部である。1年後に迫ったマイナンバー制度。その進ちょくを追った。
 
〈6面〉「今、そこにある危機」 不正送金
 
 インターネットバンキング(IB)からの不正送金被害額が40億円に届く勢いだ。注目されるのは、これまでターゲットだった大手銀行から、地方銀行、信用金庫、信用組合にまでターゲットにされ、さらに法人名義口座の被害が急拡大していること。IBでも動く金額が大きく、犯罪者にとっては好餌になりやすいからだ。被害を受けた法人への補償も課題になっている。
 
〈7面〉楽天 穂坂雅之副社長インタビュー
 
 楽天は2015年も攻勢をかける。注目はリアルでの事業展開。先行するスマホ決済などで強みのカード会員基盤をさらに手厚くする一方、昨年10月に始めた共通ポイント事業でリアルでも新たな顧客を取り込み、金融事業との相乗効果も織り込む。穂坂雅之副社長は「市場のポテンシャルは大きい」と日本における金融事業の強化を強調した。

〈8面〉東海特集 金融サービス 弱者に東海で支援活発
 
【名古屋】金融機関には高齢者や障がい者、妊婦さんなどハンディキャップを持つ利用者に配慮した店づくりが求められている。視覚障がい者にも使いやすいATMを導入したり、営業店のリニューアルでは段差をなくし車椅子でも利用できるユニバーサルデザインは欠かせない。高齢化社会に合わせるように認知症サポーターの配置も時代の要請だ。最近ではハード面だけでなくソフト面でも一歩踏み出さそうという金融機関が出始めている。接遇の専門資格を介し金融サービス弱者とのコミュニケーション力を高めようというのだ。激しい金利競争を余儀なくされている東海地区で、代表する3つの金融機関に話を聞いた。
 
〈9面〉関西特集 イスラム教徒が形成する巨大市場に注目

 【大阪】イスラム教で認められた「健全な商品や活動」を表す言葉「ハラル」。全世界で310兆円とされるハラル市場は、食品、サービスから製薬、医療、販売、小売り、加工、食肉、観光、ホテルなど広範囲に及ぶ。東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国のイスラム人口は2億8000万人。中でもインドネシアは約2億人、マレーシア約1800万人と、巨大市場として注目されている。海外進出先や今後検討する事業所がハラル認証を取得するケースも増えている。同時に、円安などを背景に海外旅行客が多く押し寄せ、国内販売でもハラル認証取得への関心が高くなり、銀行も認証取得支援やアドバイス提供などに乗り出した。アウト・インバウンドともに、今後のビジネスに期待が持てる。とりわけ、アジアからの訪日旅行者の比率が高い関西地区の事業所では売り込み合戦にも熱が入る。一般社団法人のハラル・ジャパン協会の協力も得て、りそな銀行ほか、西日本の銀行の取り組みや地域で取り組む事例をまとめた。
 
〈11面〉大東京信組・北部信組が合併へ 今年12月めどに
 
 東京都内の大東京信用組合(本店=港区)と北部信用組合(本店=台東区)は2015年12月をめどに対等合併することで合意し、昨年12月24日、記者会見を行った。高齢化や人口減少で市場規模が縮小し地域事業者の先行きの経営環境が厳しいため、両信組の特性を生かし円滑な資金供給を提供しようと合併に至った。
 
会見する大東京信組の安田眞次理事長(右)と北部信組の田中照恭理事長 
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